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​1) 参考図書

『マゴットセラピー ウジを使った創傷治療』

著:Wフライシュマン, Mグラスベルガー, Rシャーマン

翻訳:沼田英治, 三井秀也

大阪公立大学共同出版会 ISBN: 978-4901409254

2002年にドイツ語版、2004年に英語版が出版されました。

世界で初めてのマゴットセラピーの解説本です。

臨床写真と説明もコンパクトにうまくまとめられ、医療関係者むきです。

日本では2006年に翻訳され、マゴットセラピーのいわゆるバイブル本です。

『糖尿病とウジ虫治療ーマゴットセラピーとは何か』

著:岡田匡

岩波書店 岩波科学ライブラリー ISBN: 978-4000296175

一般の人から医療関係者まで幅広い読者を対象とした日本で初めての本です。

上記の本がややとっつきにくいと感じる人におすすめです。

臨床例、歴史、メカニズム、治療法、ハエのことなど詳細に説明されています。

科学書でありながら臨床写真や複雑な図解はひとつもありません。

生命の不思議さという切り口から読み物としてとても面白く書かれています。

■マゴットちゃん.png
■ヒロズキンバエ②.png

​2) FAQ

(1)どんな病気に使いますか?

糖尿病性足潰瘍、下腿潰瘍、褥創、切断創、感染をともなう術後創などです。

これまでの治療で治りにくい慢性の創傷です。

この中で最も多く使われているのは糖尿病性足潰瘍です。

糖尿病性足潰瘍は神経障害、血管障害、感染の3つの要素が複雑にからみあっています。

その病態を判断したうえで治療法が決められます。

マゴットセラピーが有効なのは神経障害があるが、血管障害が少なく、感染をともなっている場合です。

この治療を受けることができるかまず主治医にご相談下さい。

そして、知りたい情報を十分に得てから受けるかどうかを決めて下さい。

(2) どんな病気には使えないのですか?

慢性創傷にはほとんど使えますが、血流の悪い場合は基本的に使いません

マゴットセラピーの前に血流を改善する血行再建術が必要です。

そのため、血管外科か循環器内科の診察が必要です。主治医にご相談下さい。

(3)どの程度治りますか?

個々人の状態やどういった疾患であるかによって異なります。

特に、下肢の血流が悪い場合は上述のように本来あまり適応にはなりません。

それも含めて大雑把な数字では8割程度です(この数字にはあまり意味はありません)

(4)どんな副作用がありますか?

全身性の重大な副作用はありません。安全な局所治療法です。

多いのは痛みですが、もし痛くなればマゴットを取り出せばすぐにおさまります。

通常は痛み止めを内服すればおさまります。

あるいは、マゴットの数を少なくする、短い間隔で取り出すなどの対応で軽減は可能です。

他には、マゴットをメッシュ状のバッグに閉じ込めたものを使う場合もあります。

また、患部周囲に皮膚炎をおこすことがあります。

この場合は軟膏を塗ったり、治療をすこし休んだりすればある程度軽快します。

(5)どれくらい費用がかかりますか?

マゴットは100匹で2~3万円です。

これに処置代(自費)が数千円かかります。

詳細は、ジャパン・マゴット・カンパニー(http://jp-maggot.com/main/)に問い合わせて下さい。

(6)どれくらいの期間がかかりますか?

マゴットセラピーだけで糖尿病性足潰瘍の治療するのは一般に難しいです。

1ヶ月以上、場合によってはもっとかかる場合が多いです。

入院中なら、ある程度良くなればすぐに植皮術や局所陰圧閉鎖療法など次の治療法に移行します。

この場合は数回ですみます。マゴットセラピーの期間は1~2週間です。​

(7)入院か外来通院かどちらですか?

基本的にはどちらも可能です。

ただし、病院では混合診療にならないようになど種々の制約があります。

病院では倫理委員会の申請と承認が必要です。

(8)治療を受けるにはどうすればいいですか?

まず、主治医にご相談下さい。

次に、主治医からジャパン・マゴット・カンパニー(http://jp-maggot.com/main/)にご連絡下さい。

その後は、マゴットセラピーに精通した医師らが可否を検討し、主治医と連絡を取りながら適正に対応をします。

(9)近くにいるウジ虫は使えますか?

ヒロズキンバエは日本でもよく見られます。鶏小屋、豚小屋、ゴミ処理場などにいます。

しかし、野生のウジ虫は病原菌を媒介することがありますので使えません。

マゴット生産会社で生育された無菌性の医療用マゴットだけを使います。

(10)マゴットが体の奥深く入りませんか?

マゴットのお尻には気門という呼吸するところがあり、頭の部分を患部に突っ込むようにします。

したがって、呼吸ができないところまで深く移動はしません。

 

 

(11)病原菌を媒介しませんか?

無菌性に生育された医療用のものを使いますので、その心配はありません。

ただし、治療後のマゴットには病原菌が付着している可能性があります。

そのため医療廃棄物として処理します。

(12)住みついて体からハエがでてきませんか?

使われるマゴットは2齢幼虫です。

48時間前後で3齢幼虫前期のときに患部から取り出して、新しい2齢幼虫のマゴットと交換します。

したがって蛹になることはなく、ハエになることもありません。

むしろ、3齢幼虫後期になれば食事をやめて患部から離れようとします。

そのため、マゴットが逃亡しないようにドレッシングの工夫が必要です。

 

 

(13)体に卵を産みませんか?

マゴットは卵を産みません。産むのはメスの成虫のハエだけです。

上で述べたように体の中でハエになることもありませんので卵も産みません。

(14)マゴットを使うのは気持ち悪くありませんか?

はじめは誰もが嫌悪感を抱きますが、徐々に慣れてくることがほとんどです。

どなたでもできます。

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